「顎関節症」と「肩こり」は、しばしば関連性のある症状として考えられています。
慢性的に悩まされている肩こりの原因が、実は顎関節症によるものであるかもしれません。
今回は、肩こりと顎関節症の関連性についてご説明します。
顎関節症の代表的な症状は、【1】あごが痛む 【2】口が開かない 【3】あごを動かすと音がする の3つです。
【1】あごが痛む
顎にも顎関節(がくかんせつ)と呼ばれる関節があり、咀嚼筋(そしゃくきん)と呼ばれる噛むときに機能する筋肉が存在します。
そのため身体の関節痛や筋肉痛があるように、顎も過度な負担がかかると、関節や筋肉に痛みを感じることがあります。
【2】口が開かない
開口(かいこう)障害と呼ばれる症状です。
顎の関節内にあるクッションがズレてしまいスムーズに機能せず、大きな口が開けられなくなる状態です。
【3】あごを動かすと音がする
お口を開け閉めするときに「カクン」「ミシミシ」といった音が鳴る症状です。
この症状に関しても、顎の関節にあるクッションのズレや変形が関係している場合が多いです。
上記のような原因と、ご自身の顎関節や顎を動かす筋肉とのバランスによって顎関節症状を引き起こされます。
実際に顎関節症状を持つ患者さんには、平均より多く肩こりの症状がみられることが報告されています。
歯ぎしりや食いしばりによって咀嚼筋の緊張が持続すると、その周囲にある顔や頭、首、肩などの筋肉が過度に収縮し、痛みに繋がるためだと考えられています。
仕事や趣味に集中し没頭しているとき、ふと気がつくと食いしばっていることはないでしょうか。
また起床時に顎関節の痛みやだるさを強く感じる方は、就寝時の食いしばりが原因であるかもしれません。
実は上下の歯と歯が接触するのは1日で食事をするときのみ、時間にしてわずか20分が理想的だと言われています。
それ以上長時間の歯と歯の接触は顎関節への大きな負担となり、咀嚼筋の過度な緊張へと繋がります。
また不適切な噛み合わせや左右片方での噛み癖、頬杖や姿勢の悪さも、顎関節と周囲の筋肉とのバランスが崩れる原因の一つとされます。
例え顎関節症ではなくとも、咀嚼筋の緊張や顎関節への過度な負担が持続するような習慣があると、肩こりを併発する可能性は十分に考えられます。
慢性的な肩こりにお悩みの方は、顎関節症状はないか、また顎関節や咀嚼筋に負担のかかるような習慣がないか、一度見直してみてください。
肩こり解消の糸口が見つかるかもしれません。
適度な運動で全身の筋肉をほぐし心身ともにリフレッシュを試みることも効果的でしょう。
ただし不適切な噛み合わせや、歯のトラブルから習慣付いた噛み癖に関しては、歯科医院での治療が必要なケースもあります。
顎関節を専門に診察可能な口腔外科専門医も在籍しておりますので、お気軽にご来院ください。
ひかり歯科クリニック摂津院 院長
宮地 久崇