ある朝、歯を磨いているときに「ん?」と鏡の前で立ち止まったことはありませんか?
舌の横や頬の内側に、小さな白いできものができている。
触ると少し痛いような、でも放っておけば治りそうな——そんな小さな違和感。
実は、こうした「口の中の白いできもの」は、多くの人が一度は経験する身近な体調不良のサインです。
しかしその原因はさまざまで、軽いものから、早めの受診が必要な病気の前兆まで含まれています。
「そのうち治る」と見過ごしてしまう前に、少し立ち止まって受診を考えてみましょう。
「白いできもの」といっても、実際にはいくつかのタイプがあります。
よく見られるのは、粘膜の表面にできる口内炎や、軽い擦過性の傷による白い膜。
これは食事中に頬を噛んでしまったり、歯の尖った部分や入れ歯、矯正装置などがあたって炎症を起こしたりして生じます。
また、カンジダ菌という常在菌が繁殖して起こる「口腔カンジダ症」も白い斑点として見えることがあります。
これは疲労やストレス、抗生物質の長期服用などで口内環境のバランスが崩れたときに起こりやすく、舌や頬、上顎に白い膜がつくのが特徴です。
さらに注意したいのは、白板症(はくばんしょう)や扁平苔癬(へんぺいたいせん)といった、粘膜の細胞変化をともなう疾患です。
これらの疾患は慢性的に刺激が加わることで発生し、痛みが少ないまま長く続くこともあります。
中には、癌の一歩手前の状態だとして、早期の発見・経過観察が必要なケースもあるため、「ずっと治らない」「広がっている」と感じたら、早めに受診しましょう。
白いできものには、「痛みがあるもの」と「痛みがないもの」があります。
痛みを伴う場合は、多くが一時的な炎症や口内炎などの良性の変化です。
刺激物を避けて清潔を保てば、1〜2週間ほどで自然に治ることがほとんどです。
一方、痛みがないにもかかわらず白い部分が厚くなっていたり、硬く感じたりする場合には注意が必要です。
白板症や粘膜の慢性炎症などでは、初期には痛みを感じないことが多く、「気づいたら大きくなっていた」というケースも少なくありません。
特に喫煙者やアルコール摂取の多い方では、口腔がんとの関連が指摘されているため、定期的な口腔チェックが大切です。
お口の中の状態は、実は体全体の健康とも深く関係しています。
免疫力が落ちているときや、ビタミン不足、睡眠不足、ストレスが続いているときに、口内炎やカンジダ症が起きやすくなります。
また、糖尿病などの全身疾患が背景にあると、傷の治りが悪くなったり、感染が長引いたりすることもあります。
「お口の中だけのこと」と思わずに、体調の変化と併せて観察してみると、思わぬサインが見えてくるかもしれません。
まずは、清潔を保つことが基本です。
歯磨きの際に痛い部分は優しく磨き、うがい薬や口腔洗浄液を上手に使いましょう。
辛いものなどの刺激の強い食べ物を一時的に控えるのもおすすめです。
それでも次のような場合には、早めに歯科や口腔外科を受診してください。
・2週間以上経ってもできものが治らない
・痛みがどんどん強くなる
・白い部分が硬い・盛り上がっている
・出血やただれを伴っている
・広がってきている
医師による診察では、まず粘膜の状態を観察し、必要に応じて細胞診や病理検査を行うこともあります。
原因が感染性のものであれば抗真菌薬などを使い、刺激が原因であれば接触部を調整するなど、症状に応じた治療を進めていきます。
顔や手の傷と違って、口の中は自分でじっくり見る機会が少ない場所です。
だからこそ、小さな違和感を見逃さないことが、健康維持の第一歩になります。
歯みがき中に痛みを感じたら、鏡で覗いてみる。
「いつもと違う」と思ったら、写真に撮って経過を観察してみるのも良い方法です。
そして、不安があれば迷わず専門家に相談しましょう。
白いできものは、多くの場合すぐに治る身近な症状です。
しかし、身体からの重大なサインであることも。
忙しい毎日の中でも、少しだけ自分の口の中と向き合ってみてください。
その小さな気づきが、あなたの健康を守るきっかけになるかもしれません。
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